偏差値70からの大学受験 シンジさんたちのその後

シンジさんのその後

経歴:神戸大学夜間脱出
東北大学法学部編入
卒業後、「通訳」をこなすかたわら
国際公務員」を目指して受験勉強中

 あのドラマを狂った方向に大きく導いたのは、言うまでもなくこの男。私自身も「師」と仰ぐ彼の自虐的な生き方は、あれから3年が過ぎ去った今では、もはやカリスマの領域に。ただし栄養失調で死んではいない。
「組織に入ると所詮煩わしい人間関係に悩まされることになる。どんな場所にいても、いつでも強気でいられるように、確固たる自分自身の力が欲しい。」こう言い放ち、彼は「学歴」が唯一有効である、「一流会社」への就職活動を一切行わなかった。あれだけあこがれて、そしてようやく手に入れた「学歴」を、いとも簡単に捨ててみせたのである。
「学歴は学生生活、もしくは20代を楽しく過ごす、一つの要素に過ぎないですね。とりあげられたらそこには何も残りませんし。もちろん無いよりあった方がいい。それくらいのもんでした。実際手に入れてみたら。」彼は私にこう繰り返したのだった。
 東北大学に入学後、法律を勉強する傍ら、英語の勉強を脅威のペースでヤリまくり、確固たる「英語力」という武器を身につけた。ちなみにTOEICは885点、国連英検A級取得。受験で培った努力は、こうして彼を次の段階へと押し上げたのだった。
今では得意の英語力を活かし「通訳」をこなしつつ、さらなる高み、「国際公務員」を目指して勉強中である。その先の目標は、「世界」をその身で実際に触れ合い、そして動かしていくことである。
彼のその後を見ると、僕はこう確信する。
やはり人生は階段であった、と。彼は突然「天才」になったのではない。受験合格⇒英語神レベル到達⇒国際公務員受験と、確実に上へと駆け上がっただけなのである。「でかい事やりたい」って誰もが考えているだろう。しかしそんな「でかい事」を成し遂げるんだったら、毎日地道に努力しなければならないのだ。「階段」を一歩一歩登らねばならないのである。
逆に言えば、「努力」さえ怠らねば、必ず上へと進める。周りの人間を批判し、不具合を社会のせいにしてばかり。そんな事をしている場合ではないのだ、結局人生は全て「自分自身」にかかっているのである。
今のシンジさんの活躍する場所は、もはや「学歴」はあって当然の領域である。話題の一つにしかならない程度のものだ。ただし注意して欲しい。だからといって「学歴」はくだらない、と言っているのではないのだ。「努力」「精神」を磨き、自分自身を高めるためには、「受験」を避けては通れないのである。
最後に彼のメッセージを記し、終わりとしたい。
「社会」で一流になるには、「受験」での数倍の努力が必要となる。だから「学歴」だけで終わり、「社会」では使えない者も出てくるだろう。それが世に言う「学歴批判」だ。しかし「受験」程度の努力が出来ず、鍛錬を否定し続けた者が、「社会」で一流になることだけは絶対にありえない。これだけは「真実」だと思う。


バクダンのその後

経歴:神戸大学夜間卒業
某大手スーパーチェーン内定

 「夜間クサイ」と侮辱され、彼はそのショックにしばらくは口も聞けなかった。
あの傑作なエピソードから早4年。彼はその後まさに「出来すぎ」の人生コースをたどる。「夜間はいやだ」「やっぱり好きだ」、まるでピンポン玉のようにコロコロ意見を変え、悩んでいるうちに嫌な勉強に一切手が回らず、気付けばお決まりの形で4年間夜間在籍。「自分の人生って何だろう」、考えてばかりで何の行動も起こさなかったらしい。バイト先のスーパーチェーンにそのまま内定ゲット。就職活動も、本気だったのかどうかさえ不明。
後日談だが、彼は「編入は受けない」と言いながら、シンジさんと同じ東北大学をコソコソ受験していたらしい。わざわざ神戸から東北まで。何か憎めない、そんな陽気な彼であった。